庭からはじめるSDGs
おうち時間を豊かにしてくれる庭のある暮らし。いろいろな楽しみ方のできる場所ですが、少しの工夫やアクションで、地球のために貢献できるSDGsな庭に変えられるということをご存知ですか?
ここでは、何からはじめれば良いかわからないという方に向け、「庭からはじめるSDGs」と題し、すぐに実践できるアイデアの数々をご紹介します。
SDGsとは「Sustainable Development
Goals(持続可能な開発目標)」の略で、2015年に国連サミットで採択された、誰一人取り残さない持続可能で多様性と包括性のある社会の実現を目指す国際目標のこと。
2030年に向け、社会や企業はもちろん、一人ひとりが取り組むべき目標として注目を集めています。
ツル性の植物を窓に張ったネットなどで育ててつくる緑のカーテンは、太陽の光が室内に入るのを防ぐだけでなく、葉から水分が蒸発する際に生まれる気化熱によって室温が上昇するのを防いでくれます。
エアコンの温度を一度下げると年間約8kgのCO2削減につながると言われており、緑のカーテンは地球温暖化防止に貢献できる身近なアクションなのです。
また、緑色の植物にはリラックス効果があると言われ、住む人にとって心地の良い空間をつくることにもつながります。緑のカーテンは、地球にも自分にも良いことがあるはじめやすい取り組みのひとつです。
緑のカーテンの設置場所は、庭に面した窓やバルコニーなど太陽の光が差し込みやすい場所を選びましょう。場所が決まったらカーテン用のネットを用意。
ネットの代わりに支柱や物干し竿を使う場合は、たわまないよう注意しましょう。
深めのプランターに鉢底石を敷き、培養土を入れたら植物を植えます。花を楽しむならアサガオやバタフライピーなど、花だけでなく収穫も楽しむならゴーヤやキュウリなどの野菜がおすすめ。
植物によって成長速度が異なるため、日差しが気になる季節に向けて逆算して植えましょう。
植えた植物に水や肥料を与え、植物の背丈を伸ばしていきます。
成長するにつれて葉っぱの密度やネットの強度が上がっていき、日差しが気になりはじめる頃には立派な緑のカーテンの完成です。
本来捨てる生ゴミも、一手間加えるだけで家庭菜園やガーデニングで使える堆肥に早変わりします。やり方はとてもシンプル。容器(コンポスター)に生ゴミと土を入れ、定期的に中身をまぜて熟成させれば完成です。
生ゴミから生まれた堆肥を使って、野菜や植物の成長を楽しみながら、SDGsの取り組みにもなる。生ゴミが減ることで、それまで使っていたビニール袋が不要となり、プラスチックの削減につながる好循環が生まれます。
また、ゴミ袋代の節約や堆肥を購入する手間や費用も減り、家計にとってのメリットもたくさんあります。
容器に入れる生ゴミは水気をしっかりと切ると、においの発生を抑えることができます。
また、生ゴミを入れたあとに土をかぶせたり、目の細かいネットで容器全体を覆うことで虫が寄りつきにくくなります。
さまざまな楽しみ方ができる庭ですが、ゆっくり眺めてみると植栽の木や花はもちろん、そこに集まる野鳥や昆虫などたくさんの命が共存していることに気づきます。「生物多様性」と呼ばれるこうした命のつながりを身近に感じられるのも、庭の良いところ。
一方で、私たち人間の活動が原因で生き物の絶滅スピードが約1,000倍になっている*というデータがあります。深刻な課題でありながらなかなか実感しにくいこうした環境問題ですが、土をいじったり花を育てたり、庭という場所をきっかけに命を大切に思う気持ちが芽生えることで、少しでも自分ごと化できるのではないでしょうか。
まずは、庭に集まってくる生き物たちと出会う機会をつくり、多様な生物を知ることからはじめませんか。きっとこれまでとは違う庭の魅力が増えるはずです。
*環境省「みんなで学ぶ、みんなで守る」サイトより
植物を育てたり、堆肥づくりをしたり、生き物について考えたり。
最も身近な自然とも言える庭が、SDGsと向き合うきっかけとなり、
回り回って地球のためになっていく。
そう考えると、なにげない庭づくりにも
新しいやりがいやモチベーションが生まれてきます。
自然も心も豊かにしてくれる庭のある暮らし、
みなさまも気軽に楽しみながら取り組んでみてはいかがでしょうか。